血液検査でわかること
ピロリ菌の検査として有名なのが血液検査。これは、血液の中の抗体価を調べています。ピロリ菌が体内で増殖すると、当然身体は菌に対して攻撃すべく、抗体という物質を作り出します。人間の身体には抗体を作り出すため大きな型が存在しており、免疫グロブリンといわれています。
ピロリ菌に対する抗体はIgGというタイプの免疫グロブリンに分類されます。したがって、ピロリ菌に感染していると、血液中のIgG抗体が増加するため、数値として検出することが可能なのです。このIgG検査は、ピロリ菌に特化したIgGを検査するために、ピンポイントでピロリ菌感染を特適することができます。
ピロリ菌の検査費用は?
ピロリ菌を特定する検査はどのくらいの値段なのでしょう。検査ごとに見ていきましょう。尿素呼気法と呼ばれる方法は、ピロリ菌が尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する特性を利用し、尿素を摂取した後の二酸化炭素の量を測定するものです。
この検査は病院で実施することができ、費用は約3000円と実にリーズナブルとなっています。もうひとつ、上にあげた血液検査もポピュラーなものです。実際の抗体検査単体での費用が約3000円といわれており、こちらも非常に安価なものとなっています。こちらも病院で実施することができます。具体的に検査を選ぶということは難しく、どちらかといえばどこまで知りたいか、によって検査が追加されたり、省かれたりされていきます。
単純にピロリ菌の感染だけを知りたくて、具体的な除菌治療を望まない場合は、たいていの場合尿素呼気法による検査のみを実施することがほとんどです。一方で、しっかりした除菌治療を望む場合は、治療薬となる抗菌剤の感受性や体内の免疫状態を詳しく調べるために血液検査を実施することの方が多いでしょう。
※ピロリ菌の検査内容について
保険はきくの?
以前は、ピロリ菌の治療は保険が利かず、比較的手間もかかるという理由であまり人気がないのが現状でした。しかし、多くの胃がん患者さんの原因となっていることが判明し、その除菌の重要性が明らかとなり、2013年より保険が適応となりました。現在では上にあげた検査だけでなく、薬剤による除菌も含めて保険内での治療が可能になっています。ちなみに、尿素呼気試験法は保険適応で約半額の1500円ほど、抗体を調べる血液検査においては単価として1000円以下の値段となっており、非常に利用しやすいのが現状です。健康診断や人間ドッグなどでも積極的に勧める項目の対象となっています。
まとめ
意外と専門的な治療とはいえ、われわれが知っているポピュラーなものや、簡単なものが多く、値段も良心的ですね。年をとると、消化器系の影響は顕著に出ますから、早目の診断、除去をしていきたいところです。
ピロリ菌とはそもそもなにか?
朝の健康番組やワイドショーなどでピロリ菌という言葉を耳にしたことがある方は多いことと思います。多くの人が持っているとされるピロリ菌ですが、いったいどのような影響を身体に与えているのでしょうか。
ピロリ菌に感染する原因は?
ピロリ菌の感染する原因ですが、実は詳しくわかっていません。しかし最近の研究から、ピロリ菌はもともと身体の中に住んではおらず、少なくとも胎児にはピロリ菌の感染が見られないことが判明しています。そして感染するルートとして、口からピロリ菌が混入すると非常に感染しやすく、特に免疫システムが出来上がっていない胎児や幼児期には容易に感染してしまいます。昔は現在と異なり、よく大人が子どもに口移しで食物を与えていた習慣があり、こうした口から口への接触が、ピロリ菌感染の大きな原因ではないかといわれています。もうひとつ、ピロリ菌の感染は年々減少しており、特に年齢が高くなるほど増加傾向となることからも、もともとの感染には衛生状態が大変影響していることが考えられます。今でこそ上下水道が整備され、冷蔵庫や加熱が行き届いていますが、中高年の方の時代は満足に設備がなく、井戸水を口にしたりやや不衛生な飲食があった可能性が高く、それによる感染と見られています。
ピロリ菌がいるとどんな病気になる?
ピロリ菌が感染すると、人体にどのような影響があるのでしょうか。ピロリ菌が体内に入り住み着くのは、胃や十二指腸といった部位の粘膜です。粘膜までたどり着いたピロリ菌は、粘膜下へと入り込み、増殖をしていきます。直接的に粘膜に穴をあけてもぐりこむので、その部位では炎症が起こります。ピロリ菌の増殖によってその炎症範囲が広がっていき、慢性的な胃炎・十二脂腸炎となります。一般的には胃の出口である幽門から、胃の入り口である噴門へ向かって炎症が進んでいくもので、ヘリコバクター・ピロリ菌性胃炎という名称がついています。ピロリ菌の感染が引き起こす結末は、その炎症が進んだ先にあります。炎症部がただれて変形、腫脹、出血してしまう潰瘍やひどい場合には胃がんや十二指腸がんを併発する場合もあり、非常におそろしい細菌であることがわかります。
まとめ
ただの細菌、それも年配者の多くが感染しているということで甘く見ていると大変です。現在では、ピロリ菌除去も可能となっていますから、ぜひ除菌をして健康な体内環境を整えていきましょう。
メディアでも頻繁に紹介されることもあり、巷で健康を脅かすピロリ菌という名前はとても有名です。病院で治療することも可能となっています。ピロリ菌の検査や治療について詳しく説明していきます。