胃の粘膜を荒らす怖いピロリ菌は、適切に除去するのが懸命です。では具体的に、どのような検査を実施するのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

ピロリ菌検査の種類

尿素呼気試験法

尿素呼気試験法とは、尿素と吐いた息を使って行う検査です。ピロリ菌が胃内で生命活動を営む過程で、尿素という物質を二酸化炭素とアンモニアに分離する化学反応が起こります。つまり、ピロリ菌に感染し炎症が強くなれば強くなるほど、尿素の分解が進んでいくのです。そこで、人工的に尿素を内服してもらうことによって、その残留物からピロリ菌の有無を調べるのがこの検査です。もしピロリ菌に感染している場合には、尿素が入ってきた時点でピロリ菌が尿素を分解して大量のアンモニアと二酸化炭素を生成します。アンモニアは肝臓で除去されてしまいますが、二酸化炭素は直接口から排出されることになります。つまり、尿素を内服した後、二酸化炭素の量が急に増加した場合はピロリ菌に感染している疑いが強いと考えられます。一方で、ピロリ菌の感染が見られない場合には、尿素を内服しても激しい分解は行われません。したがって、二酸化炭素やアンモニアが増加しないことがわかるため、感染者との判別がつくことがわかります。試験管









血液検査

どのような細菌やウィルスでもそうですが、体内に侵入してきた場合、私たちの身体はそれら抗原に対して適切に攻撃を行える抗体を自動的に生成するということがわかっています。抗体にも種類がありますが、中でも入ってきた抗原を分析し、その抗原にピンポイントに効力のある抗体を産生するのがIgGという種類の免疫グロブリンです。血液の入った注射器通常、ひとつのIgGはひとつの抗原に対しての抗体を作るようになっており、ひとつのIgGがマルチな抗体を生み出すということはありません。つまり、ピロリ菌の抗体を産生するIgGはユニークなものであるということがわかります。通常このピロリ菌に特化したIgGはpyloriIgG28と呼ばれており、血液検査を実施してpyloriIgG28抗体価が非常に高い場合、もれなくピロリ菌への感染が強く疑われることとなります。非常に精密な検査のように感じますが、普段われわれが医療機関で行われる採血の際に医師がピロリ菌の項目をオーダーすることで、簡単に検査が可能なものです。



まとめ
今は単純に薬で菌を殺すだけでなく、しっかりと感染を同定する手順が確立しているのですね。科学的にしっかりと治療を行っていき、健康を維持することが大切といえるでしょう。